伝統菓子・地方菓子- Traditional confectionery -

伝統菓子・地方菓子

●フォレ・ノワール2015年07月30日

フォレ・ノワール Forêt Noir
フランス語で「黒い森」。チョコレート風味のビスキュイとクレーム・シャンティを、サクランボを散らしながら交互に重ね、さらに全体をシャンティで覆って、最後に削ったチョコレートをふりかけ、森に見立てたお菓子である。生地にキルシュをたっぷりとしみ込ませるのも特徴で、ドイツ語の「シュヴェルツヴェルダー・キルシュトルテ」の名にそれが表されている。「黒い森」(=フォレ・ノワール=シュヴェルツヴェルダー)とは、ドイツとフランスの国境あたりの実在のもの。濃緑色を通り越して黒にさえ見えるほど、一年を通じて針葉樹が鬱蒼と生い茂る大森林である。森からはサクランボの収穫もあり、さらにはサクランボの蒸留酒であるキルシュも加わって、フォレ・ノワールは土地の特色が見事に結晶したお菓子なのである。ドイツでもフランスでも広く作られているが、発祥や考案者は定かでない。

○用語・人名解説
キルシュ Kirsch
サクランボを種子も含めて数週間発酵させ、蒸留した後、2~4年の間、樽で熟成させたフルーツ・ブランデー。ドイツ・シュヴァルツヴァルド地方が発祥である。19世紀後半のある夏、「黒い森」で大豊作をみたサクランボ。使いきれない大量のサクランボを、ワイン醸造の空き樽に入れて発酵させてみては、というアイディアに、蒸留という方法が加わってキルシュの誕生となった。