●オペラ2015年07月30日
オペラ Opéra
19世紀後半はお菓子に華やぎと絢爛が加わった時代であった。一般の人々の生活に文化や芸術が浸透し、その副産物として演劇や音楽、文学にまつわる料理やお菓子が次々と誕生したのである。コーヒー風味のシロップを含ませたビスキュイを数段重ねて、間にバタークリーム、ガナッシュをはさみ、つややかなチョコレートの上がけで仕上げたオペラも、それらを代表するひとつ。200年以上の歴史を誇る老舗「ダロワイヨ」で、1955年に考案された。本店に近いオペラ座の豪奢なイメージを、あでやかな風味と端整な長方形に表すことを発案したのは、ダロワイヨのマダム・ガヴィヨンだったという。以来、今日まであらゆるパティスリーで作られているが、その表面にはしばしば金箔の飾りが施される。オペラ座の屋根に輝く、金の彫像を表すのだという。
○用語・人名等解説
ビスキュイ・ジョコンド biscuit joconde
オペラに使われるビスキュイは“ジョコンド”の名がついている。アーモンドパウダーやメレンゲでふんわりと風味豊かに仕上げられたビスキュイが、まるでモナリザ(フランス語ではジョコンド)の微笑みのように優美だというのが、その由来である。1960年代以降、徐々にお菓子に軽さが求められるようになって多く使われるようになった。