●アミアンのマカロン2015年07月30日
アミアンのマカロン Macarons d’Amien
マカロンはアーモンド・パウダーと卵白、粉糖でできた小菓子で、発祥はイタリア。フランスには16世紀にアンリ2世に輿入れした、カトリーヌ・ド・メディシス(カトリーナ・ディ・メディチ)がもたらしたとされている。以降、主には修道女たちによって各地方に広まり、その土地独特の形態や配合が生まれた。一番古いとされているのは、ロワール地方に伝わるコルムリーのマカロン。小さなドーナツ型がおもしろい。反対に一番新しいのはカラフルなカスタネット形が日本でも人気のパリのマカロン。パリ以外の地方都市ではほとんど見られないものである。他にはロレーヌ地方ブーレイのマカロン、ナンシーのマカロン、南西部モンモリオンのマカロン、サンテミリオンのマカロン、そしてバスク地方のサンジャン・ド・リュズのマカロンなどがある。そのひとつが、大聖堂で有名な北フランスの都市アミアンに伝わるもの。マカロンにしてはめずらしく、卵黄やハチミツが入ったリッチな配合で、さらに食感も「外はカリッと中はねっちり」のコントラストが一般的なのに反して、外皮と中身は同様にネチッとした噛みごたえがある。また、ひとつずつ絞り出す作り方が多い中で、棒状にした生地を輪切りにして焼くのも個性的だ。
○用語・人名解説
カトリーヌ・ド・メディシス Cathrine de Medicis
1519~1589
イタリア・フィレンツェの大富豪、メディチ家の娘。後のフランス王アンリ2世に嫁いだのは1533年のこと、新郎新婦とも14歳という政略結婚であったが、この際に彼女とともにやってきた料理人や菓子職人によってもたらされたものは多い。マカロンをはじめ、アイスクリームやフロランタン、サバイヨンなどがその代表である。食事の作法としてカトラリー使いを王宮に広めたことも、フランス・ガストロノミーの歴史にとって大きなできごとであった。
メゾン・ド・プティ・フール 西野之朗
より美しい形状のため、厚めにのばした生地を型抜きして焼き上げている。表面に塗られたアプリコットやオレンジのジャムが味わいのアクセントに。