●サヴァラン2015年07月30日
サヴァランSavarin
発酵生地をリング状に焼いてアルコールのきいたシロップを染みこませた後、真ん中の穴にクレーム・シャンティもしくはクレーム・パティシエールを絞り込んで仕上げたお菓子。しばしば「ババ」と混同されるが、基本的に用いる生地は同じで、その形や仕上げ方が異なる。19世紀初頭に活躍したパティシエ、ジュリアン三兄弟(オトゥール、オーギュスト、ナルシス)のうち、オーギュストが1845年に考案した。彼は「ババ・オー・ラム」で有名なストーレーの店で修業をしていた経緯から、このババをヒントにサヴァランを思いついたといわれている。当初は「ブリヤ・サヴァラン」と名づけられており、美食家ブリヤ・サヴァランに捧げられたもの。浸すシロップの風味づけは、リキュール業者とともに考案したというが、その配合は50年間も門外不出であった。今ではひんぱんに目にするリングのサヴァラン型も、三兄弟の発明品である。
○用語・人名解説
ジャン=アンテルム・ブリヤ=サヴァラン
Jean-Anthelme BRILLAT-SAVARIN(1755-1826)
フランスの美食の郷、リヨネ地方に近いアン県生まれ。領主である父、食に造詣の深い母のもと、哲学や法律を究め、音楽などにも長けた教養人に成長する。地元の町長から破毀院判事への出世街道をひた走りつつ、稀代の美食家としてその名を馳せる。生涯、仕事として食には関わらなかったが、亡くなる前年に出版された「味覚の生理学」は世界的な成功を収めた。